MISCAST



むかし昔、ある城下町でのお話…。
シンデレラという名の可哀相な女の子がおりました。その子の両親は亡くなっており、継母と意地悪な姉達に、召使同然の暮らしを余儀なくされておりました…。
シンデレラは、回りから「ギムリ」と呼ばれ…

「おい!待て!!どうして俺がシンデレラなんだ!?」
「文句を言うな、ギムリ。役があるだけでもいいと思え。しかも主役だ。こんないい事はないぞぉ」
「…だったら変わってくれ。まだ意地悪な姉の方がいい」
「いや。想像主に逆らってはいけないぞ、ギムリよ…」
(そそくさと立ち去る)

続けるよ?
え〜と…そうそう。「ギムリ」と呼ばれ、毎日こき使われておりました。
「ギムリ、洗濯しておいてくれ。オークの血でドロドロなんだ」
「ギムリ、花火の材料が足りない。採って来ておくれ」
「「ギムリ〜!遊ぼう〜、遊ぼう〜!!」」
継母ガンダルフと意地悪姉アラゴルン、ピピン、メリーの要求は尽きる事がありません。

「畜生〜!!何で俺がぁ〜!!」
…などと遠吠えをしたりする時もありましたが、ギムリはよく働くいい子でした。


そんなある日の事です。
お城から1通の招待状。

『王子の花嫁選びパーティを行う。国中の娘は参加する事』

「と、いう訳で…よろしくお願い致します」
お城からの招待状を持ってきた使者を一目見るなり気に入ったらしいピピンとメリーが彼に飛びつきます。
「ね〜ね〜、遊ぼう!」
「…!!わ、私はまだ仕事が…!」
「そんなのほかっといてvね〜遊ぼ?」
にこにこと彼にしがみ付いてくる姿を見て、使者も困り果ててしまいます。
「ピピン、メリー。いい加減にしておきなさい。ボロミアが困っている」
「アラゴルン!助けてくれ!何なんだ、こいつら!!」
「…今は妹達だ」
「…達?ていうかシンデレラの姉って確か3人じゃ…」
「細かい事は気にしてはいけない」
その通りです。
「ねぇ、アラゴルン!この人の事、知ってるの?」
「ああ、城の使者だ。パーティに行けば遊んでもらえるだろう」
「本当!?」
「わ〜い、じゃあパーティに行く準備をしようよ!」
「うんっ!!」
意地悪な姉ズはイソイソと用意をし始めました。

「…お前、上手いな」
「まぁな。あいつらにこの話の趣旨を説明しても仕方がない」

ともあれ、皆パーティの準備に取り掛かります。
ギムリも行きたかったのですが

「行きたくねぇよ!…モガッ!?」
「静かにしててくれ…」
「モガ〜!!」(ジタバタ)

ギムリは少々天邪鬼でした。
とにかくギムリが何と言おうと、継母や姉達がパーティに行く事を許してくれません。
「じゃあ、留守を頼むぞ」
と皆イソイソと出かけていきました。


「ったく、さっさと行けばいいんだよ。静かでいいぜ」
パーティに行きたくても行けなかったギムリはお城の方をジッと見つめる事位しか出来ませんでした。
「おい、ナレーション違うだろ!?」
楽しそうな音楽や光に、目の前がホワリと暖かくなります。
「誰が泣くか〜!!」
チ、アラゴルンがいないと進めにくいなぁ…しまった、友達のネズミとかにすれば良かった。アラゴルンの役。
もとい、傷心のギムリの目の前に、突如現れた魔法使い。
「…えらく唐突な現れ方だけど、誰だよ?アンタ」
「私は偉い魔法使いだ。お前を1人にしておくと邪魔ばかりするから、と登場が早くなった」
魔法使いはサルマンと名乗りました。そしてギムリをパーティに連れてってくれるというのです。
「いいよ、別に。行きたくもない」
「そうもいかない。私は創造主には逆らわない。ほれ」
ボワン、という音と共に、ギムリは素敵なドレスに身を包まれていました。
豊かな髪や髭もカラフルなリボンで結ばれていて、とても愛らしい姿です。
「…わ〜!?」
「うん、私のセンスも中々だな」
サルマンは、その辺にあった野菜や動物達で、乗り物や従者を作ります。
「これで良し、と。この魔法は12時に消えるから、12時までには帰ってくるのだぞ?それから…」
サルマンは何やらゴソゴソと懐を漁ります。
次に出した手が持っていたのは、小さな小瓶。
「今日のお礼にひと働きして貰おう。これをガンダラフの食事に混ぜてくれ」
「何だよ、これ…ってか何、お前ナレーション味方につけてんだよ!」
「私の魅力だ。ちなみにこれは惚れ薬だ。他の奴らには使わない様にな。間違えたり忘れたりした時には…」
「…時には?」
「口には出せない恐怖が待っている…ふ、ふふふふふ…」
笑い声と共にサルマンの姿が消えました。
「…き、消えた」
手元に残った小瓶を呆然と見つめるギムリ。
いや、見つめてる場合ではないです。早くしないと12時になってしまいます。一刻も早くお城へ行きましょう。
「…ヤだ」
……。


元動物の従者に連れられて、ギムリはお城までやってきました。
「わ〜!何勝手に連れてきてるんだよ!」
あまりに美しいギムリに、皆目を奪われています。
「俺は帰るんだって!」
パーティ会場まで来た所で継母や姉達に出くわします。
「ギムリ!?」
「わ〜、ギムリ可愛い〜vv」
美味しいご馳走を食べたり、ボロミアに遊んでもらっていたりした継母と姉達はギムリの変わりように驚きを隠せません。

「…??シンデレラって確か城では身内に会わなかったよな?」
「想像主様がお怒りだ。ギムリ、もうちょっと協力してくれ」
「なっ!こんな茶番付き合ってられっかよ!」
ええい、もう面倒だなぁ〜。
「ギムリ〜!口には気をつけろ!相手は想像主…!」

「なんて美しい!!」
ギムリの美しい姿に、その城の王子が早速目をつけました。

「…ほら、話がすっとばしになってきたぞ」
「俺のせいかよ」

目をランランと輝かせた王子が、ギムリの元までやってきます。
「美しい娘さん、名は何と?」
「…ギムリ」
「おお、名前までもが美しい」
…ちょっとムリがあったかな。まぁいいや。
王子はギムリの前に跪くと、その手を取り甲に口付けます。
「僕はレゴラスといいます。よろしければ1曲お付き合い願えますか?」
レゴナスに口付けられ、ポォとなってしまっていたギムリは、気がつけば大広間中央で踊っていました。

「俺、踊れないんだけど…」
「僕もだけど、大丈夫v踊ってるって書いてあるから踊れてる」
「そんなモンなのか?」
「そんなモンなんだよ…でも」
「ん?」
「やっぱりギムリって可愛いなvもうこのまま食べちゃいたい位vv」
「レッレゴラスッ!?」

レゴラスとギムリの会話も弾みます。
しかし、楽しい時間はあっという間に過ぎ行くもので…。


ボーン、ボォーン…

12時を示す鐘の音が会場に響き渡り始めました。
魔法が消えてしまう時間です。ギムリは慌てました。
「レゴラス…俺、帰るから」
「なぜ?もっといて下さい。もっとお話しましょうv」
レゴラスはギムリを大層気に入ったらしく、手を離そうとしません。
「イヤ!帰らなきゃいけないんだって!」
「駄目です!帰しません!!」
「俺の髭を引っ張るな!」
ギャアギャアとわめきつつも、何とか階段まで逃げてきます。
が、鈍足ドワーフが俊足エルフから逃げ切れるはずがありません。

「何だと!?逃げなくていいのか!?魔法が切れる…!!」

まあまあ。
階段を少し下りたところで、レゴラスの腕がギムリを捉えます。
「掴まえたっ!もう、逃がさないよ…」
ギュウ、と抱きしめたその時。

ボォ〜ン…

12時の鐘が終わってしまいました。
その途端に、ボワン!とサルマンの魔法がとけてしまいました。
驚いたレゴラスの目の前には、薄汚い格好のギムリ。
先ほどまでの美しいドレスも、カラフルなリボンも全くありません。
「…だから帰るって言ったのに」
少し顔を赤くしたギムリがブツブツと文句を言って俯いてしまいます。
そんなギムリに、レゴラスはにっこりと微笑みます。
「綺麗なドレスも、カラフルなリボンも僕がまたプレゼント致します。先ほどまでのドレスもリボンも消えてしまいましたが、貴方が残っていて僕は嬉しいですよ」
笑顔に乗せて、そんな言葉を貰ってしまったギムリはまるで茹蛸の様に顔を真っ赤にさせました。そんなギムリを嬉しそうに見つめるレゴラス。
「おっ、俺なんかでいいのか?」
「僕は貴方がいいのです。貴方の美しさは内面ですよ…」
レゴラスはそう言うと優しく口付…

「うわぁぁあ〜!!!!!」
(ドゴッ!)
「痛〜!酷いな、ギムリ」
「だ、だ、だって…!!い、今お前…!?」
「うん?キスしようとしたんだけど?」
「なっなっなっ…!!」
「だって、ギムリ可愛いんだもんv」
「レッレッ…」
「正気だよvギムリは可愛いよv知らなかった?」

…まあ、いいや。やってて頂戴。
何はともあれ、ギムリとレゴラスは、幸せにお城で暮らしましたとさv





「あ、コレ忘れてた」
「何?綺麗な小瓶だね」
「ウン…サルマンからガンダラフの食事にコレを混ぜる様にって言われてたんだ…忘れたり間違えたりしたら口に出せない程恐ろしい拷問が待ってるんだってよ」
「ええっ!それは一大事!!早速ガンダラフに!」
2人はガンダラフにプレゼントする為にお菓子を作り、そこにサルマンからの薬を仕込んでおきました。
で、その先どうなったかはまた別のお話…。




すごい書いてて楽しかった…(笑)途中でシンデレラ無視し始めたけどね!てかシンデレラの話は結構納得いかない。うん、マジで。
レゴギム、かなり好き好きvvでもこれってレゴギムっていうかギムリ話…(苦笑)