Morning Time



「ん…?」
朝の日差しが一筋、顔に当たっているのが眩しくて目が覚めた。

覚醒してみると、小鳥の声もよく聞こえる。
「…いい天気だ」
森の中だったので、太陽の姿を直接拝む事は出来なかったけれど、木々の間から覗く光がそれを物語っていた。
しばし呆然としていたが、行動開始しなくては、と重い腰をよっこらせと起き上がらせる。

水音のする方へ歩いていけば、やはりそこには川があって。
ジャバジャバと顔を洗う。
「…ふう」
「やあ、おはよう。ギムリ。いい朝だね」
水浸しの顔を水から離した所で声を掛けられた。
そのままの顔でその声をした方を見ると、レゴラスがまるで朝の光の如く爽やかに笑っていた。
背景の森がとてもよく似合っていて…。
「ふん」
「おやおや、つれないね。朝の挨拶もしてくれないとは」
クスクスと笑いながら身軽なエルフはあっという間にギムリの所までやってきた。
「…お前に返す様な挨拶は知らないんでね」
「ふぅん…?」
いつまで経っても皮肉しか返してくれないギムリに、レゴラスは困った様に笑いかけ、ベタベタのままだった顔を、丁寧にタオルで拭き始めた。
「なっ!何をする!!」
「だって、いつまでも濡れたままでは風邪をひくかもしれない。…ああ、ドワーフはそんなにやわじゃないかな」
「…ま、全くもってその通りだ!!」
慣れない事をされて、顔を赤くしたギムリが慌ててタオルをレゴラスの手から奪い取る。
…が。
奪い取ったはいいけれど、そのタオルをどうすればいいのか分からず、ギムリは困った様にタオルを見つめる。
顔はまだ濡れているのだから、拭けばいいのだろうけれど、これはレゴラスが用意してきたタオルであり…つまり自分が勝手に使っていいタオルではない。
だからといって、奪い取ったものをすぐに返すのも何だか恥ずかしかった。

しばらくタオルを見つめ、握った手を開いたり閉じたりしていると上からクス…と笑い声が落ちてきた。
「君は本当に分かりやすい。どうぞ、そのタオル使って下さい」
エルフに綺麗に微笑まれて、ギムリは思わず顔を染める。
一番美しい種族だと言われているエルフに微笑まれて赤くならない奴などいない!と自分に言い聞かせると、いつもの様に反発を始める。
「いらん!別に俺は濡れたままでも大丈夫なのだから!!」
返すチャンスを逃していたタオルをやっと返す事が出来るとばかりに、腕を乱暴に突き出す。
レゴラスに向かってほおり投げても返せたけれど、そこまで礼儀知らずな奴にはなりたくなかったし、そう思われるのもイヤだった。
「そう」
淡白な返事と共に、レゴラスの手がタオルを掴み、ギムリの手から離れていった。
「………」
怒らせたかな?と恐る恐る見上げてみると、レゴラスは先ほどのギムリの様に、タオルをジッと見つめていた。
「?」
「ギムリ」
何をしているのだ?とレゴラスをジッと見ていた所に、本人から名を呼ばれ体が飛び上がる程驚いた。
「な、ななな、何だ!?」
そのギムリの慌て様に笑ったのか、再びレゴラスの表情が柔らかくなる。
そして衣擦れの音もしないのではないかという位、滑らか動きで、ギムリの目の前にしゃがみこんだ。
「先ほど、君は僕に返す挨拶をしらないと言ったね。教えてあげるよ」
「なん…!!」
何だと?と最後まで言う事は出来なかった。

目の前にあるレゴラスの綺麗な顔。
その顔がニッコリと笑う。今まで見た事のない笑顔。
「明日から、こうやって挨拶してくれればいいよ」
じゃ、と来た時と同じ様に軽やかに森の中に消えて行った。
衣擦れの音はもちろん、木々のざわめきすらない動き。
ギムリはその場に呆然と立ち竦んでいた。
川を覗いたりしなくても、真っ赤になっている事が分かる位顔が熱かった。
「な、なななな…!!」
言葉をレゴラスに喰われたかと思った。
思考をレゴラスに喰われたかと思った。

それなのに、不快に思わない自分が不思議だった。



次の日から、ギムリがレゴラスを避けまくる姿をそこここで見られた。
けれど、ギムリは怒っている訳でも嫌っている訳でもない事が表情から分かり、レゴラスに至ってはとても嬉しそうにそのギムリを追いかけていた。

「よくやるなぁ」
とは仲間の弁。




ラヴラヴ〜vvえ?やりすぎ?(笑)やっぱり書いてる私は楽しかったv(そんなんばっか…)
情景を美しく書こう!とか頑張ってみたのですが…気付いたらいつもの私に戻ってた…最初、何だ何だ?と思いませんでした?え?思わん?(笑)