敵はドコだ




気がついた時には、何を信じていいのか分からなくなっていた。
信じていいもの、ダメなもの。
それが確かにあった事だけは覚えている。
だけど、気がついた時には、その基準が分からなかった。

力。
知恵。
勇気。

全て大事な事だ。
でも、それをどうやったら信じる事が出来る?
信じていいもの、ダメなもの。
誰か、俺に教えてくれ。



ボンヤリと空を見上げていた。
旅に出て、誰ともまともに話してない気がする。だけど、そんな事は全然構わない。
一人でいる事が好きな訳ではないけれど、色々と構われるよりはマシだ。
「…あの、ボロミアさん?」
静かに掛けられた声。目線をずぅっと下ろすと、小さなホビットが2人、じぃっと自分を見ていた。よく見ると後ろにアラゴルンもいる。
「…なんだ?」
「あ、あのっ、俺たちに剣を教えてくれませんかっ!?」
期待に満ちた目と声。
なぜ自分が。
そう思ったのは確かなのに、ああ、と答えてる自分がいた。
とても、驚いた。



「ボロミアさ〜ん!」
あれから何かある度に、自分に声を掛けてくるホビット達。
辛い事、苦しい事が多いこの旅なのに、彼らはいつも笑っていた。

どうして笑えるのだろう。
どうして彼らはついてくるのだろう。
辛くはないのか?
苦しくはないのか?
泣きたいと、思う事はないのだろうか?



「しっかり俺につかまっていろ!」
途端にギュウと握られる自分の服。
自分が言った言葉をしっかりと信じてくれている二人。
そして、キチンと守っている二人。
なぜ?
どうして?
この旅でしか知らないこの自分を。
どうしてそこまで信じられるのだろう。

オレガ。
ココデテヲハナスダケデ、オマエタチハシンデシマウノニ。

それでも、お前たちは、自分を信じてくれるのか?



「うわぁああああ〜〜〜〜〜!!!!」
朦朧とした意識のスミで、二人の声が聞こえた。

ムリだ。
逃げろ。
そう、叫びたいのに。
助けたかったのに。
いつだって、自分を助けてくれていたのは、自分の力でも、知恵でも、勇気でもない。
いつだって、自分を助けてくれていたのは、お前たちだ。
お前たちが信じてくれたから。
お前たちが優しかったから。

そして、今もお前たちは「俺」を助けてくれようとする。
もういい。
もう、俺は助けてもらったよ。
もう、逃げてくれ。
逃げてくれ…。
頼むから、お前たちだけでも、助かってくれ!



自分の無力が悔しかった。悲しかった。
アイツラの様に強くなりたかった。
どこで、間違えたのだろう。
自分の信じるもの、それを見失った時から自分は無力になったのかもしれない。
大義名分だけが大きくて。
大きすぎて。
いつの間にか、自分がとても弱い人間になってしまった事に早く、気付けば良かったのだ…。



抽象的な話でスミマセン…何度も映画観ていて、ボロミアがすごく好きになりまして!無性に書きたくなったのです〜メリピピもね!私、メリピピの勇気という名の優しさが大好きです。
この3人は大好きです。邪なしで(笑)また書きたいなぁ。今度はちゃんとしたのを。