学校といえば、よく見かける光景。 校舎裏などの人気のない場所。 1組の男女。 そして、女性の口から出てくる言葉は。 「あなたが好きです…!付き合ってくれませんか?」 ホグワーツいちの美男子、シリウス・ブラックにとって、それはよく聞かれる台詞で、本人としてはあまり嬉しくもない言葉。 なぜかというと、ソレを言って欲しい人からの言葉じゃないから。 「ゴメン…」 その子を悲しませるのを分かっていても、一番悲しませたくない人がいるから。 その人のために。 エゴイストと言われてもいい。 だって恋する人は誰だってエゴイストなんだから。 その子がわっと泣き出しても、ハンカチすら貸してあげない。 その子が泣いている姿を見ても、罪悪感すら沸いてこない。 だって誰だってエゴイスト。 「…って…ですか…っ」 嗚咽交じりに何かを質問され、ボーとしていたシリウスが我に返る。 「何?」 「だ…から、ブラックさんには…好きな人がいるって…噂、本当ですか?」 何度も何度もしゃくり上げながら、女生徒が質問を繰り返す。 「うん、本当」 「…誰ですか?」 ヤケに強い瞳で質問を繰り返す。 女生徒はもう泣いていない。 「…そんなん、聞いてどうすんの。自分より魅力的なヤツかどうか判断しようって?そんなに自分に自信あんだ?それとも、悔しいから虐めてやろうってそっちか?」 冷たく、意地悪くシリウスが言葉をはくと、女生徒の顔が真っ赤になった。 「ち、違います…!ただ…知りたい、だけです…」 「あっそう。でも教えない。見知らぬアンタに俺のプライベート教える義務もないしな。そもそも、アンタなんかに教えたくないし」 さっきよりも冷たい言葉。 強い瞳だった少女も、悲しそうに恥ずかしそうに目を細めて「失礼します…!」と駆け出して行った。 やれやれ…とシリウスも回れ右。 「冷たい男だ」 急に声をかけられて、ビクリと声をした方も向けばそこに立っていたのはセブルス。 いつもの分厚い哲学書を片手に抱いて、扉にもたれかかっていた。 「…いつから」 「泣いていた辺りからか」 「あそ」 この薄暗い場所から抜け出そうと、シリウスもその扉へと近づく。 「…冷たい男だ」 繰り返す同じ言葉。 セブルスの目の前まで来たシリウスがニヤリと笑う。 「そう?どの辺が?フッた事?慰めなかった事?」 「好きでもない相手と付き合う事もないし、お前はキチンと相手の気持ちに応えられないことに謝罪していたではないか」 「じゃあ、意地悪な台詞?冷たい台詞?」 「…あの位なら聞きなれているレベルだな」 「テメェと一緒にしちゃ、可哀相なんでない?」 笑うシリウスに、セブルスの頬も少し緩む。 「で、何が冷たかった訳?」 ギシ、とセブルスいる扉にシリウスの手がかかる。 扉とその腕の間で、セブルスは閉じ込められる。 「私だと言わなかったではないか」 まっすぐにシリウスを見つめるセブルスに、少々動揺したりもしたけれど、シリウスはそんな事おくびにも出さない。 「だって、俺まだ片思い中だもん。恋人同士になったら公表するのが夢なんだよ」 「ほう」 「…言ってくれないの?」 見詰め合う瞳に、願いを込めてねだってみる。 セブルスの瞳が優しく揺れた。 「言わずとも、行動で返しているではないか」 「…ん〜、でも言って欲しいもんなんだよ〜!!」 耐え切れずに、セブルスをギュウと抱きしめる。 「…俺、セブの事好き過ぎておかしくなっちまいそう」 「心配しなくても、元々お前はおかしい」 「…冷てぇ」 「俺の事、嫌い?」 「そんな事はない」 抱きしめられても抵抗しない所か、体を任せてしまっているセブルス。 確かに、行動では好きだと肯定している。 でも、シリウスは聞きたかった。 この耳で。 セブルスのその声を。 恋する男は誰だってエゴイスト。 「何で言ってくれないの?」 「切り札になるだろう」 セブルスがニヤリと笑う。 「でも、気持ちは変わらない」 |
花生さん2周年オメデト〜!!シリセブ第2弾をお願いされたので砂吐きシリセブSS第2弾を書いてみました!どうでしょう(笑)
珍しくタイトルを文中に登場させてみた。何度も。何だか恥ずかしい(笑)