大きくない笑い声が聞こえてきた。 うっかりしていたらきっと気付かずに通り過ぎていた。 けれど、気付き。 足を止め。 覗いてしまった。 緑で溢れた中庭で、笑っていたのは、かのセブルス・スネイプだった。 でも、笑い声を発していたのは、向かいに座る親友リーマスだった。 いつもと違う風景。 いつもと違う人。 あれは 誰? 「やあ、セブルス」 翌日、廊下で声を掛けた。 その声に立ち止まり、振り向いてはくれたけれど。 その顔はいつもの顔。 いつものセブルス。 「何の用だ?グリフィンドールのヒーロー殿。大した用ではないのなら、私は急いでいる。失礼させて頂きたい」 顔を皮肉に歪めて。 厭味をたっぷりと沁み込ませた言い方で。 ああ、昨日の君はきっともっと優しい会話をしていただろうに。 「あ〜…うん、大した用はないんだけど…ちょっと話がしたいと思って」 「話す事など何もない」 けんもほろろに扱われ、あっという間に踵を返そうとするセブルスを慌てて引き止める。 ローブの端を掴んで。 セブルスにジロリと睨まれたけれど、それでも手は離さない。 「その手を離してくれたまえ」 「…だって」 「だってもクソもない。離せと言っているのだ」 どうしてこんなに冷たいの? どうして僕には笑ってくれないの? いつもと一緒。 いつものセブルス。 「僕にも笑ってくれたらいいのに」 結局ビンタひとつでローブの自由権を返してあげた。 「リーマスってセブルスと仲いいよね」 グリフィンドールの談話室で、何気に話を切り出してみた。 一瞬、驚いた顔を見せたリーマスだったけど、すぐにニコリと笑って頷いた。 「そうだね…グリフィンドールの中では一番仲がいいかもね」 「どうやって仲良くなったのさ?あの薬物オタクとさ」 まるで、自分はゴメンだと言わんばかりに聞いてみる。 あくまでさりげなく。 あくまでも関係なさげに。 でもリーマスは聡い。 「君にはきっとムリだよ」 ニッコリ笑うとそのまま部屋へ戻ってしまった。 キミニハムリダヨ 冷たい人がここにも1人。 ちょっと凹んでたある日。 またあの中庭を通りがかった。 笑い声は聞こえなかったけど、何気に覗いてみた。 この間と同じ木の下。 スリザリンカラーが1人。 近づいてみた。 別に用があった訳じゃないけど、この間みたいに廊下じゃないから。 座っているから。 もしかしたら話が出来るかも。 ひょっとしたら笑ってくれるかも。 近づいた時にそれは不可能だと気付いた。 そこでセブルスは眠っていたから。 キラキラ零れる光が、まるで彼を守っているかの様。 その様はいつものセブルスからは想像出来ない。 そうだ…。 あの時のセブルスだ。 そういうつもりで近づいたんじゃない。 そういうつもりなんて全然なかった。 ただ、僕にも笑って欲しかっただけ。 でも、セブルスの寝顔を見つめていたら。 とても自然に体が動いた。 「ジェームズ!!」 親友の声にハッとする。 目の前のセブルスも大声で目を覚ました様だった。 唇がかすかに震えている。 「ダメ!ダメだよ!!」 声が。 腕が。 僕を止める。 気付けば、リーマスに羽交い絞めにされて、セブルスからは遠ざかっていた。 きょとんしたセブルス。 後ろで息の荒いリーマス。 かける言葉が見つからず。 適切な行動が見つからず。 ぼんやりとつったっていたら、後ろから声がした。 「君は、僕にないものをいっぱい持っているじゃないか…。僕から、取らなくたっていいじゃないか…」 今にも泣きそうな位悲しそうな声。 それでも、声が出ない。 手足が動かない。 「どうしたのだ…?」 寝起きのぼんやりとした声が、リーマスにかけられた。 名を、呼んだ訳ではないけれど分かる。 僕じゃない。 その瞳に映っているのも。 その声がかけられたのも。 リーマスは、後ろからスィと追い越して、セブルスの元へと近づく。 「何でもないよ。起こしてしまったね、ゴメン」 「いや…」 そして、笑った。 リーマスに向かって嬉しそうに。 こうして見る事は出来ても、向けられる事のないその笑顔。 きみにはむりだよ リーマスの言葉が脳裏に蘇った。 |
最近、リマセブがマイブームです。すごい楽しいです。
ジェスネは同人読んでハマりましたが、リマセブは本を読んで自分でハマったので、その差でしょうか。あと映画の余韻か…?