それは、新学期が始まった まだ暑さ残る9月の事だった…。 「シリウス!」 ホグワーツ生徒でごった返すキングス・クロス駅のホーム。 後方から声を掛けられて振り返ると、向こうの方から手を振りながら駆け寄ってくる親友…ジェームズが見えた。 その後ろからついてくるリーマスの姿も。 「よぉ!我が悪友達よ!!元気だったか?」 「もちろんだ、戦友!」 ニヤリと笑いあった後、雑談を交わしながら列車へと足を進める。 途中、ピーターとも合流し、空いているコンパートを探した。 「中々見つからないんだよね…毎回の事ながら」 「う〜ん…あっほら!」 運良く空いてる車両を見つけて。 そのまま、勢いで空いている場所へとなだれ込み。 飲めや歌えの大宴会…まではいかなかったが、それに近い盛り上がりをみせた、グリフィンドール問題児4人組。 気がついた時には、その車両はグリフィンドールで埋め尽くされていた。 「いつもこんなんだったらいいのになぁ」 「うん、ホグワーツに戻れるのっていいね」 上機嫌のシリウスに、ニコニコほえら〜と答えるピーター。 そのほえほえ空気にビシ、とつっこみが入る。 「ちっげ〜よ。こうやってさ、グリフィンドールばっかだといいなって意味だよ!陰険などこぞの寮生がいないだけで、楽しさ倍増ってカンジでな!」 ぎゃはは、と品のない笑い方をしたシリウスに、おお〜!と同意をしたのは周りのグリフィンドール生達。 誰よりも賛成してくれると思った親友達が目の前で困った様に笑っていた。 「…?」 口を開こうとするより早く、周りの寮生にもみくちゃにされてしまう。 そのまま、その件はうやむやになった様に見えた。 そんな中、ジェームズが車両から出て行ったのも、シリウスは知らなかった。 「や、久しぶり」 「…会いたくはなかったがな」 大騒ぎのグリフィンドール車両を抜け出て、一つづつ、車両をチェックしていたジェームズがやっと目的地へと辿り着く。 そこにいたのは、4人掛けの場所を独り占めしているセブルスの姿。 まわりも、心なしかガランとしている気がした。 ぐるりと回りを見渡したジェームズがポツリと「相変わらずだねぇ…」と洩らした。 「この方が静かでいい」 驚いた事に、ジェームズが先ほど声を掛けてから一度も顔を上げてない筈のセブルスがそれに答えた。 それを聞いたジェームズが一瞬、驚いた顔をして。 そして、ニヤリと笑った。 「おやおや〜?セブルス、よく僕が言いたい事分かったね?『君が』相変わらずだとは思わなかったの?」 「…そんな事、一々口に出すほどではないと思ってな」 「ふぅん…?相変わらず正直じゃないねぇ」 素早く近づいて、バッと本を取り上げる。 驚きに目を大きく見開いて。「何をする!」と叫ぶ。 それは、毎度のパターン。 「素直じゃないね、セブルス」 「喧しい!それを返せ!」 立ち上がって本と取り返そうと腕を伸ばすが、ジェームズも取られない様に頭の上にと腕を上げてしまっているので、届かない。 「…くっ…!」 その身長差に悔しさを覚えたのか。 やけにムキになって腕を伸ばしてくるセブルス。 伸ばせば伸ばすほど、体の方が無防備になって。 「……!?」 ぐるん、とジェームズが自分の腕をセブルスの腰へ回すのはとても容易な事だった。 「ね…セブルス…?」 抱きかかえられて、耳元で呼ばれる。 それだけで、セブルスの顔は耳まで真っ赤になる。 「答えてよ。最初に一瞬、顔を上げただろ?」 「…!」 「そう、僕がきょろきょろしてる時にね…」 「…それが…どうした」 腕の中から抜け出る事を諦めた様に大人しくなったセブルスが苦々しくジェームズの推理を肯定した。 「うん、大問題なんだ」 「…?」 不思議そうに首を傾げたセブルスの顎を掴むと、自分の方へと向けて固定させると、羞恥に顔をトマトの様に赤くしたセブルスの潤んだ瞳が、ジェームズを捉える。 「教えてよ、セブルス。顔を上げたのは… 僕が見たかったから…?それとも」 顔を背けられないセブルスの瞳だけがそっぽを向いている。 「アイツが一緒なのを期待してた?」 瞳は、ジェームズに戻らない。 久しぶりのホグワーツ。 久しぶりの友達。 久しぶりの悪戯。 …久しぶりの。 「相変わらずの間抜け面だな」 「…おお、誰かと思えばセブルス・スネイプじゃねえか。俺ぁ、すっかりお前の顔なんか忘れてたぜ!」 「ふ、貴様の少ない脳みそでは、難しいだろうな」 毎度の事ながら、セブルスのいらぬ一言から始まった獅子寮と蛇寮の口喧嘩。 最初は口喧嘩でも、気性の荒い子供達。 それだけでは終わらない。 その内、お決まりの乱闘騒ぎ。 赤と緑が交じり合っての大騒ぎの中、シリウスはひとつのものを目にした。 それは、セブルスがジェームズに張り手をくらわせている場面。 てめぇ! そう、叫んだつもりだった。 でも、次の場面で体が凍りついた。 もしかしたら、さっきの声は出ていなかったのかもしれない。 もしかしたら、本当に時が止まっているのかも。 ああ、あの2人になら出来そうだ。 シリウスの目に映ったのは。 叩いたセブルスの辛そうな瞳から落ちた雫。 叩かれたジェームズが、悲しそうにセブルスの頬を包み込んでいた。 まるでその、雫を壊さないかの様に。 そっと… 優しく。 周りの音が聞こえない。 ひたすら煩い自分の鼓動。 状況に気付いたリーマスが、シリウスを引っ張らなかったら、きっと大怪我をしていた。蛇寮が放った攻撃魔法で。 それでも、シリウスの瞳は、一点を見つめている。 もうそこには誰もいないのに。 「…おい」 夕方、薄暗くなってきたホグワーツの長い廊下。 夕食前のせいか、珍しく周りに人はいなかった。 そんな中、シリウスの声が響いた。 いつもの明るい声でなく、どこか押し殺した様な低い声。 「…」 「おいっつってんだろ!聞こえねぇのか!?」 呼びかけに答えがなかった事にさっそくブチ切れて、いつもの大声が廊下に響く。 それでも、呼びかけられた相手…セブルスは口を開かない。 「こんの腐れスリザリン!!」 「…」 廊下に響くのは、ひたすらシリウスの声。 (こんなヤツ…無視すればいい。 呼んでいるのに、無視してるヤツなんて…) 心のどこかで、「いつものシリウス」が呟いた。 (…何で、呼び止めた?) 心の隅で、誰かが呟いた。 「…」 「…」 心の中で葛藤を始めたシリウスは気がつかない。 セブルスが始めの「おい」で足を止めて振り向いていた事。 セブルスがずっと何かを待っている事。 …今、とても寂しそうな顔をしている事。 「馬鹿ブラック…」 初めて廊下に落ちた、シリウス以外の声。 けれど、それは シリウスには届く事のない声。 「…!あのなっ」 やっと、何かを決心したかの様に、顔を上げたシリウスと 「あっシリウスめっけ〜!あ!セブルスもみっけた〜!!」 廊下の角を曲がってきたジェームズのタイミングは見事に一緒だった。 シリウスを探して歩いていたらしいジェームズだったが、セブルスの姿を認めた途端に、それは記憶の彼方にブン投げられた。 「セブルス〜元気?今日も一日無事終わって良かったねぇ」 「相変わらず喧しいな、ポッター…」 満面の笑みでセブルスに近寄るジェームズと、しかめっ面でボソリと答えるセブルスを見た途端。 シリウスの中で、何かが爆発した。 「スネイプッ!何で俺の事は無視するんだよ!!」 「…何の事だ、ブラック」 どうせまた返事は来ないと思って思いっきり叫んだシリウスに、あっさりとセブルスが答えた事で、何だか拍子抜けした。 「…え」 「何、どうしたの」 「さあな…では私はもう行く」 クルリと踵を返したセブルスの背中に、ジェームズがまたね〜と手を振っているのをボンヤリとシリウスは見ていた。 姿が見えなくなってからやっと振り向いたジェームズ。 「どしたの、シリウス」 聞こえていた。 でも、頭の中でいろんな事が混乱して…。 「訳わかんねぇ」 やっとそれだけを呟いた。 廊下での一件の後、偶然か必然か。 とにかく、セブルスとシリウスは暫く顔を合わせる事がなかった。 スリザリンとの合同授業が中止になったり。 あっても、セブルスが自主自習してたり。 シリウス達が悪戯の罰を受けていたり。 そんなこんなで1ヶ月近くも顔を合わせていなかった。 そんな中。 「セブルスに会いたいよ〜」 と正直にもらしている男が一人。 「あっくしゅみだよな、ジェームズって。よくまあ、あんな陰険なツラ見たいと思うもんだ」 「おや?シリウスは思わない?」 「ケッ思うわけねぇよ!」 ジェームズは、ふぅん。と意味ありげに呟くと、ゴロリとベットに横になった。 ごろ…ごろごろ… 「う〜ん…」 ごろごろ… 「だぁ!鬱陶しいなぁ、ジェームズ!!何だってんだよ」 「うん、やっぱり行ってくる!!」 「へ?」 「セブルスんとこ!」 「…あっくしゅみ」 雑誌をめくっていたシリウスの手がピタリと止まる。 「シリウスもさ、一度よぉく観察してみるといいよ。セブルスをさ」 「へん!」 「綺麗な顔してんのよ。…じゃね!」 ヒラリと空へと飛び立って行ったジェームズ。 やれやれ…と腰を上げて、窓を閉めに行く。 空を見上げても、下を覗き込んでも、もうジェームズの姿は見えない。 「…知ってらぁ」 パタン、と閉められた窓。 シリウスの呟きはもう聞こえない。 気がつけば、元通りの関係。 ジェームズとシリウスは悪戯を仕掛けまくって。 セブルスはそれに怒り、追いかける。 そんな日常が戻ってきた。 「今日はどんな悪戯してやろうかな…」 そんな事を呟きながら、廊下を渡るシリウス。 相方、ジェームズの姿を求めてさ迷っている最中だった。 「…で、どこ行っちまったんだ?あいつは〜」 廊下をボ〜ッと歩いているだけでは見つかるはずもないのだけれど、シリウスはひたすら長い廊下を進んでいた。 口ではジェームズを探している、と言いながら。 廊下の角を回った所で声が聞こえた。 それは、探していた人。 見つけたくなかった人。 「…っ!!…から……の…」 近づけば、何を言っているのか聞こえてくる。 言葉が聞こえる。 「…ジェー…ズ」 いつもと違う呼び方。 自分は決して呼ばれる事のない、ファーストネーム。 それを聞いた時、足が止まった。 これ以上聞いてはいけない。 これ以上進んではいけない。 頭がそう、警告を出している。 けれど、感情は先へ進めと叫んでいる。 やめておけばいいのに。 知らない方がいい事も、世の中には沢山ある。 それでも、近づいてしまう自分。 のちに、後悔してしまう事なんて知らない。 「何度も言うが、お前には関係ない!!」 随分と近づいた所で、シリウスが聞いた第一声がこれだった。 それはジェームズに向けられた言葉だったのだけれど、こうして盗み聞きを敢行してしまっているシリウスにはドキリとする言葉だった。 「冷たいね…セブルス。前はそんな事なかったのに」 「前々から私はこうだ」 「そうかな…あんなに愛し合った関係じゃない…?」 「な、なっ何を言うんだっお前はっ」 誰にも聞かれてはいないだろうか、と周りを見渡すセブルスに、シリウスが慌てて柱の奥へと隠れた。 見つからなくて良かった、という気持ちより前にシリウスの頭にジェームズの言葉が響いていた。 『愛し合った関係』 それは、つまり…ジェームズとセブルスが…? そう考えると、先日おきた暴動の時の2人や、会えなくて会いに行くジェームズや。 そうだ…汽車での態度だって。 全ての辻褄があう。 「…そか。そうだったんだ…」 力なく呟くと、その場をフラリと離れる。 これ以上、2人の傍にいたくなかった。 これ以上、言葉を聞くのが怖かった。 無鉄砲シリウスが起こした、初めての逃げだった。 セブルスが、授業を終えて教室を出てくるのはいつも決まって最後。 それを狙ったかの様に、教室前の廊下で、ジェームズが腕組をして待ち伏せしていた。 「…何だ」 眉間のしわを寄せまくって、イヤそうな顔を隠さないセブルス。 そんな彼に、少し苦笑するとちょっと歩こうよ…と教室を離れた。 「…シリウスと会った?」 「同じ学校にいるんだ。会う事だってあるだろう」 「違う。君はシリウスから逃げている。そうだろ?」 「…そんな事、ない」 ふぅん、と言いながらふとジェームズが立ち止まる。 中庭を通り過ぎた、少し薄暗い廊下。 「僕は…まだ君が好きなんだ。離したくない。離れたくない!君の瞳に…シリウスが映ってるのが悔しくてたまらないよ…」 「それはお前の勘違いだ。私はヤツなど…」 「そう?なんとも思ってない?」 「…そうだ」 ふぅん、とまた言うと靴で廊下をコツコツと叩いた。 ジェームズが考え事をする時の癖だ。 体が自然に動き出している。 「何を考えてる、ポッター」 「…別に」 「一体何だというんだ?何故、私がブラックになんて…」 「気がついてないんだ?すごいね…それって…」 「だから何がだ!!ハッキリ言え!!」 いい加減、イラついてきたセブルスが短気を起こして怒鳴ると、それに触発された様に、ジェームズの瞳がカッと開いて、セブルスを壁に貼り付ける。 「…ッ!」 「君はシリウスに惹かれている!!」 「!!」 「僕は…君が好きだから。大好きだから。見ていれば分かるよ…大好きな人の事位」 「…違う」 「違わない。ねぇ、逃げないでセブルス。君が離れていくのは、半身を削がれるみたいに辛いけど…。でも、本当の気持ちから逃げて悲しそうにしている君を見ているのだって辛い…」 「…ジェームズ」 「正直になって。幸せになって。…それが、僕でないのが残念で仕方がないけど」 ぎゅ、と体を包み込まれる。 ジェームズがくれる暖かさは嫌いじゃなかった。 一緒にいると、幸せになれた。 「どうして…ブラックなんだろう」 「ん?」 「こうして…私の欲しいものをくれるのは、お前なのに…私は馬鹿だな」 ぱたたっ セブルスの瞳から、涙が溢れた。 幸せは、もうここにはない。 涙がそう言っている気がして、ジェームズも泣きたくなった。 ジェームズに会いたくなくて、寮に帰るのが怖かった。 シリウスは、誰もいない教室にもぐりこんでいた。 「…っくしょ…」 零れる台詞は、悔しくて。 溢れる涙は、悲しくて。 記憶に残った、二人の残像。 ぽたぽたッ… 止まる事のない感情。 気がつけば、すっかり周りは暗くなっていた。 ハァハァハァ… 暗い暗い森の中、荒い息遣いが響く。 止まる事のない足。 止めてはいけない足。 ガクガクになっても、今にも倒れそうになっても。 それでも動かし続ける。 後ろから迫る… 「もう一度言ってみろ」 「弱虫セブちゃんは、夜ひとりで出掛けられないんだろって言ったんだよ!」 「夜、出歩くのは規則違反だからな」 「へぇ、上手い言い訳だよなぁ」 ハァハァハァ… 闇が。 音が。 月が。 恐怖を駆り立てる。 先ほどの記憶が何度も脳裏を掠めて、セブルスは泣きたくなってくる。 「ブラックめ…」 「悔しかったら、満月の夜に森へ行ってみろ!!」 「満月の夜…?」 「弱虫のお前なんかに行ける筈ないけどな!」 ガッ! とうとう足が木の根に引っかかり、セブルスは思いっきり倒れてしまう。 後ろを振り向く間もなく、獣独特の荒く臭い息が近くに来ていた。 「ルーピン…ッ!!」 「ガウアアアァ〜!!」 黒く、大きな影が、セブルスの上に乗りかかる。 もう駄目だ…! セブルスがそう思うのと、大きな光がリーマスにぶつかるのはほぼ同時だった。 「セブルスッ!!こっちだ!!」 怯んだリーマスの隙をついて、セブルスを地面から剥がして引っ張る大きな手があった。 「ブラック…?」 違う事は分かっている。 それでも、思わずにはいられない。 「はぁはぁ…危なかったね…大丈夫?」 「ああ…平気だ」 暴れ柳を通り越した所で、やっと足を止めたジェームズとセブルス。 少し明るい所で見ると、セブルスはすっかりドロだらけになっていた。 「怪我、してない?」 「多分な。痛みは特に見当たらない」 「そう…」 荒い息が収まっても、2人はそこに残っていた。 まるで何かを待っているかの様に。 「戻らないのか、ポッター」 「セブルスこそ」 「…私は、待っているのだ」 「シリウスを?」 ザワザワ…と風が吹くたびに音を立てる暴れ柳。 「そうかも…しれない」 セブルスの声は小さく、その音にかき消されてしまいそうだったけれど。 「そう…」 すぐ傍にいたジェームズだけには届いていた。 随分な時間が経ち、空が白くなってきても。 シリウスの姿は見えなかった。 「ねぇ、シリウスを待ってどうするつもりだったの?殴るつもりだった?泣くつもりだった?」 「さあな…ただ」 ザワザワと鳴る暴れ柳。 「ただ?」 「…真実を知りたかったのだ。私は殺されたい程憎まれているのか、それともいつもの悪戯なのか」 「悪戯、だと思うけどね」 ザワザワ… ザワザワ… 「もう行くぞ。皆が起きだす」 「もう待たないの?」 「これが…ブラックの答えなのだろう。もう、私には構うな、ポッター」 ザク…ザク… 「セブルス、行っちゃったよ」 「やっぱりお前にはバレバレ?」 物陰からひょこりと姿を現したシリウス。 入り口へと向かって歩いているセブルスを辛そうに見送っていた。 「馬鹿だよね…出てこれば良かったのに」 「憎んでいたからやったのだ、と言いにか?」 「嘘でしょ」 「あの二択ならそっちだ」 「…馬鹿だよ、2人ともさ」 ザワザワ… 「いいんだ、これで。上手い事行く訳ないんだからさ」 「馬鹿だよ…」 「あ〜うっせぇなぁ!さっきから人の事バカバカ言いやがって!」 「馬鹿には馬鹿っていうしかないの!んも〜!僕のセブルス奪っといて態度でかいよ、馬鹿犬!」 「俺だって手に入らなかっただろ!」 「…本気で?」 「あ?」 「本気でそう思ってるんだ?あ〜、馬鹿につける薬はないって本当だよね」 「馬鹿っていうなぁ〜!!」 ザワザワ… ザワザワ… 「ごめん、ジェームズ」 若かったから出来た、あんな馬鹿げた行為。 見上げる暴れ柳はあの頃と変わってない様に見えた。 自分達の愚かな行為を見守ってくれていた暴れ柳。 「シリウスおじさん!こんな所にいたんですね」 ハァハァと息を切らしながら駆け寄ってくるジェームズの忘れ形見。 もう、ジェームズに謝る事は出来ないから。 もう、ジェームズに返す事は出来ないから。 ならばせめて、彼の力になろう。 柱の影に立っている、今も変わらず愛しい彼の為にも。 何年経っても、やってくるのは暑い季節。 |
日記連載してたもの。ここにて完結〜!うわあ、長かったなぁ。色々解説入れたいけど、もういいや…言い訳混じって長くなりそうだし。