○月○日 朝 「シリウス〜起きてるかあ〜」 ジェームズのまだ眠気が取れていない声が、部屋に響く。 いつもなら「お〜」とか「あ〜」とかこちらもまだ寝ています、という声を出すシリウスからの返答がその日はなかった。 おや?と思ったジェームズがベットを覗くと、そこはもぬけの殻。 「シリウス〜?」 部屋を見渡し、気付いた洗面所の扉。 ひょい、とそこを覗いたジェームズが見たのは、鏡の前で唸るシリウス。 「う〜…いや、さっきの方が良かったか…?」 ブツブツとそんな事を呟いていた。 見れば、ムースが散乱。 洗面所の周りは水浸し。 シリウスの行動の大体の察しはついた。 「なっにやってんのかなあ?シリウス君はぁ」 ヒョイ、と鏡の後ろに現れたクシャクシャ頭に、思わずウワッと悲鳴を上げる。 「…随分な態度だね」 「だだだ、誰だって驚くだろ!!」 「んで、何してんの?珍しく早起きなシリウスは」 「うううう、うっせ!おめ〜には関係ねぇよ!あっちに…」 行け!という単語まで口に出す事は出来なかった。 視界いっぱいのジェームズの笑顔で。 「なぁにぃかぁなぁ〜?」 リーマスよりかは怖くないけど、怒らせてはいけない人物だと、本能的に知っているシリウスはモゴモゴと白状し始めた。 「だ、だから…」 「うん」 「ちっとでもよ〜」 「ふんふん?」 「カッコよかったら、相手にしてくれんじゃ…ねぇか…な…とか思った訳で…」 段々と声が小さくなるシリウス。 段々と体を強張らせるジェームズ。 そして。 「シリウス、好きな人いたんだ!!」 大音量のジェームズ叫び。 「ギャ〜!そんな大声で言うなあ〜!!」 タコ顔負けの赤ら顔でシリウスがジタバタともがいたのは言うまでもない。 ○月○日 朝食 「んっとに…結局いつもの頭になっちまったじゃねぇか…」 「まあまあ、明日は僕も早起きして手伝ってあげるから♪」 時間がない、という事で、セットは強制終了となり、不満バリバリのシリウスと、面白そうな事実を知った上機嫌のジェームズ。 「んで、相手は誰なのさ♪」 「それは言えねえ」 「ん?」 「いい、いくら脅しても言えねぇからな!!」 猛ダッシュで逃げるシリウス。 「ま、ほかっといても馬鹿正直なシリウスだもん。観察してれば分かるよな〜♪」 やっぱり上機嫌のジェームズがそれを追った。 大広間手前、シリウスがピタリと足を止めた。 おや?とその前方をジェームズが覗き込むと、そこにはスリザリン生のセブルス・スネイプ。 まあた、喧嘩ふっかける気なんだな〜と、半ば呆れて後ろについた。 「よお、スネイプ…」 声に、セブルスが顔を向ける。 瞬間、とてつもなくいやぁな顔。 「…何の用だ、ブラック」 「今日も…き」 「…?」 「今日もキショイな、お前!」 「な…ッ!」 何の用だと聞いて、キショイ、と答えられたら…そりゃ誰だって怒るよな…と後ろで一部始終を見てたジェームズさん思いました。 ギャアギャアと下らない言い争いを始めた2人を見て、ため息ひとつ。 あ〜、またこの回収作業しなきゃいけないのか…。 …ん? 勘のいい、ジェームズ。 言い争いをしているシリウスの背中に近づいて囁きました。 「お前…スネイプの事好きなんだな?」 ドカーン! まるで、そんな音がした気がした。 まるで、シリウスの頭から煙が出てる気がした。 それ位、シリウスは一瞬で真っ赤になった。 「ジェジェジェ…」 「うんうん、分かった。あ、ゴメンね〜喧嘩の途中で悪いけど、こいつ回収してくわ」 「ふん、さっさと連れていけ。そんな顔見ていたくもないからな」 「は〜い」 ○月○日 未明 「へぇ〜シリウスがね〜へぇ〜あのスネイプをね〜へぇ〜」 ニマニマと笑いが止まらないジェームズに言い返す気力も残っていない、という状態のシリウス。 「でもさ…正直な所、その恋の行方はさ…」 「言うな!ジェームズ!!」 突然起き上がったシリウスに、ジェームズは驚き声を止めた。 「分かってんだよ…あれだけ嫌われてるから…今日だって見ただろ?あの顔!あの言葉!!」 ワ〜ン、と泣き崩れるシリウスに、あ〜こりゃ本気か…と再びため息。 「まあまあ。何事も最後までやってみなくちゃ分かんないデショ」 「そ…そうかな…」 「もちろんさ!カッコいいシリウスを見せ付けてやれよ!!」 「そうか!そうだよな!俺、頑張るよ!ありがとう、ジェームズ!!」 立ち直りの早さはおそらくホグワーツでもピカイチだと思われるシリウスが燃えている隣で、ジェームズは忍び笑いをしていた。 しばらく退屈せずに済むぞぉ…と。 |
おおたか静流さんの曲より。長い話になりそうだったので、連載にしました。次はセブ出ます…(^^;